つかの間の閃光 (フラッシュ) にはしません
巷のストレージ・デバイスには、すでに故障したものとこれから故障するものの 2 種類しかない ― おおかたのデータセンターでは、「回転する錆」と揶揄されてきた従来の機械的デバイスをそのように見ています。すべてのディスク・ドライブは、やがて故障します。安いドライブはその分、寿命も短いのです。
仮にディスクの平均寿命を 5 年と考えると、ラップトップのデータはときどきバックアップすればいいでしょう。しかし、数百から数千台のディスクを持つ平均的な企業や、数万台あるいは数十万台のディスクを持つ大企業では、ディスクの故障が日常茶飯事のこととなります。機械的なデバイスは故障する運命にあるのです。
故障すればデータが失われる危険があります。安いディスクを使って経費を 5 千万円節約しても、データ保持規制に違反して 50 億円の罰金を徴収されたら元も子もありません。株の取引データや医療画像、長編映画など、一部を失っても困るデータはたくさんあります。小数点が欠けても、ピクセルが 1 つずれてもいけません。
数年前にサンが ZFS というストレージ・プラットフォームを開発したのは、まさにこのような事態を避けるためでした。ZFS は、ある大胆な仮説に基づいて設計されました。その仮説とは、当てにならないパーツを使って信頼性の高いシステムを構築しなくてはいけない、というものです。ZFS では、余った演算サイクルを使ってデータの整合性チェックを常時実行し、データが破損する隙を作りません。そのため、一番安いディスクと最も単純なシステムを使ってもデータの整合性を保ち、手間とコストを大幅に削減できるのです。
しかし今、もうひとつの可能性が浮上してきました。携帯電話や iPods、デジタルカメラなどでおなじみのフラッシュ・メモリです。フラッシュは DRAM (コンピュータのメモリチップ) と同様にデータを高速で読み書きでき、価格は DRAM と従来のディスク・ドライブのちょうど中間に位置します。しかし、両者と決定的に異なるのは、フラッシュ・メモリが電力なしでデータを記憶できる点にあります。世界中で電力の価格が高騰する中、数万台のディスクを高速で回転させておくには、ストレージと同じくらいのコストがかかっています。大規模なハードウェア選びの中心的な基準が電力となった今、業界に揺さぶりをかけているのがフラッシュなのです。
これまで企業がフラッシュを導入するのには 2 つの障壁がありました。
1 つはコストです。1GB あたりの価格は、ディスク・ドライブよりも高くつくのです。しかし、電力の価格高騰とフラッシュの価格破壊を受けて、フラッシュの 1GB あたりの相対的な価格は急速に改善されています (ディスク・ドライブは電力がないと使用できないため)。機械的なディスク・ドライブの 1GB あたりのコストは、フラッシュ・メモリよりも安くつくかもしれません。しかし、後者は前者よりデータの読み書きを少なくとも数十倍速く行えるので、1GB を使用する実質上のコストが大幅に安くなるのです。
しかし、データセンターにもうひとつのストレージ層としてフラッシュを導入すればいいかというと、そう簡単ではありません。コストや管理の面で新たな課題が浮上してくるからです。業界を根底から改革するには、ユーザーやオペレータには完全に透過的にフラッシュを導入しなければなりません。つまり、業務が中断されたり運用コストに負担をかけることがないようにすべきです。サンの ZFS は、まさにこの点を解決する製品として開発されています。ZFS では、パフォーマンスの影響を最も強く受けるタスクにはマイクロプロセッサのキャッシュを使い、2 番目に DRAM、3 番目にフラッシュ、最後にディスク (そして最終的にテープ) を使用することによって、稼働中のシステムのストレージ階層にフラッシュを透過的に統合します。ZFS ではフラッシュを DRAM や汎用ディスクに統合し、ZFS が自動的に使用するハイブリッド・プールとすることで、価格とパフォーマンス、消費電力を最適化します。簡単に言うと、マイクロプロセッサをアップグレードしなくても、ストレージとサーバーシステムが非常に速くなります。フラッシュの導入は DRAM と同様に、メモリの容量が増えるだけで管理せずに済みます。
フラッシュで注目してもらいたい点はそこにあります。つまり、フラッシュを採用したシステムでは 1GB を使用する実質上のコスト (ストレージの運用コストの合計) が大幅に減り、MySQL、Postgres、Oracle、SQL Server など、データやパフォーマンスに強く依存するアプリケーションでは特に顕著なコストダウンとなります。適切に設計されたシステムにフラッシュを導入すれば、コストやパフォーマンスの面で桁違いに改善される可能性が��められています。そして、どのオペレーティング・システムでもその恩恵に���ずかれるようにしたのが Sun の xVM ハイパーバイザです (xVM に加えて、Windows では ZFS+フラッシュのメリットもあります)。
2 つ目の問題は少し厄介です。フラッシュ・メモリの読み込みは何回でも無限にできるのに対して、数十万回以上の書き込みを行うと磨耗してしまうのです。デジタルカメラを普通に使っている人であれば、書き込みを 50 万回も行うことはないでしょう。しかし、それが企業規模となると話は違います。では、どうすればいいのでしょうか。
ZFS ではフラッシュ・メモリを他のストレージ・メディアと同様に処理し、データの整合性を管理します (前述したように、その原因がハード・ドライブのモーター不良や書き込みによる疲弊、あるいはハンマードリルであれ何であれ、すべてのストレージ・デバイスはやがて故障します)。
ますます磨きがかけられている「磨耗の平滑化」アルゴリズムも、局部的なエラーが起こらないように書き込み動作を均一化することでフラッシュの寿命を引き伸ばしています。しかし突き詰めれば、ZFS では、磨耗は問題ではありません。ハード・ドライブもフラッシュも、やがては磨耗する運命にあるからです。
このような考えが Sun システムのオープン・ストレージへのアプローチの前提としてあるのです。その前提に基づいてフラッシュ・メモリやハードウェア、シリコンの優れた新製品を ZFS に統合することで、低電力でもパフォーマンスの高い汎用ストレージとサーバ・アプライアンスを実現し、SPARC システムや x86 システムで実行するすべてのソフトウェアのスピードアップを図っています (特に MySQL の速さは大きく違います)。しかもコストは専有 NAS ストレージの通常価格に比べ大幅に低くなっています。サンのフラッシュ・システムはこの年末にも出荷開始を見込んでいます。
ご推察のとおり、ZFS とその基底にあるソフトウェアの使用はすべて無料となり、商業的なサポートは行いません。OpenSolaris、ZFS、MySQL、Postgres はすでにご利用いただけます (左の画像をクリックすると LiveCD を無料でダウンロードできます。Mac OSX 版の ZFS は Apple 社の Web サイトからダウンロードしてください)。収益は、これらのソフトウェアを基幹業務に使用するためにサンのテクニカル・サポートを利用する企業から上げます。一方のハードウェアは、サンの Try and Buy プログラムを通じて 60 日間、無料でご試用いただき、気に入ったらご購入いただきます。気に入らなかった場合は返品していただき、送料はサンが持ちます。
このように、サンはフラッシュをつかの間だけのはかない閃光にするつもりはありません。電力の価格高騰とフラッシュの価格破壊が続く中で、フラッシュと ZFS、そして真のシステム改革は、仮想化よりもさらに大きな経済的影響をデータセンターに与えるだろうと考えています。
それほどまでに大きなことなのです。
追記: Intel、IBM、Dell に続いて、Solaris (ZFS も含む) をサポートする OEM パートナーに Fujitsu-Siemens が加わり、今朝正式に発表されました。皆さん、よくがんばってくれました。
Posted on 03:00午後 6 10, 2008 |



















