テクノロジーの選択 (2/4)
前回のブログ(英語)で述べたように、私は現在、サンの3つの重要な戦略的責務と来年度に向けた進捗を再確認しているところです。サンの戦略的責務を優先順に挙げると次のようになります。
1.テクノロジーの選択
2. 市場革新
3. 1と2の効率的な関連付け
今回のブログでは、最優先課題である「テクノロジーの選択」に焦点を置きます。選択は非経済的な事象です。費やされるのはお金ではなく、時間だけですが、それでも多大な経済効果をもたらします。例を挙げてみましょう。
去年、重要なお客様とお会いした際、ミーティングの前にアカウントの概要に目を通して、両社の関係が順調であることを確認しました。その企業のダウンロー ド・アクティビティの分析を見ると、SolarisとOpenSolarisを多く利用しており、社内にはMySQLユーザの大きなコミュニティもありま した。ミーティングの席で、そのCIOは「Solarisの方向性を好ましく思っている」と語りました。そこで、MySQLでお手伝いすることはあります かと尋ねると、「MySQLの利用は私が禁止しました」という返事が返ってきたのです。
どうやら「買い」信号が出ているとは言えないようです。
私は驚き、「なぜですか?」と理由をたずねたところ「当社の標準はOracleで、2万人の開発者を抱えており、スタッフはその規則に従う必要があるので
す」と答えました。私は、サンがOracleと非常に良好な関係を持っていることも伝えました。そして、Oracleがサンの新しいオープン・ストレージ
製品上でいかに高速に動作するかを説明しようとすると、彼は私をさえぎって、「でも、私が禁止したことは失敗だった」と言うのです。「毎年、新卒を採用し
ていますが、みんなMySQLの知識を持っています。私のプロトタイプはすべてMySQLに書き込まれています。現在では、大規模な基盤のMySQLアプ
リケーションを抱えるようになっており、それを手放すつもりはありませんし、これだけ多くのMySQLプログラマを再教育するつもりもありません。という
わけで、ぜひビジネスを進めさせていただきたいと思います」。
これが、現場における選択です。ITにおける変化は、組織のトップダウンで推進されることもありますが、多くの場合、ユーザと開発者から推進されるのです。
技術革新 対 技術革新の再販
このような選択を間違うことによる損失は何でしょうか?サンが、Microsoft
WindowsまたはRed Hatを実行する1Way x86サーバを再販する場合、売上総利益率は (最善でも)
10%です。この利益率で生き残れる会社は多くはありません。さらに重要なことに、他社の製品を再販する場合、カスタマー・リレーションシップは、CIO
や技術担当ダイレクタとの間に構築されるのではなく、リバース・オークションのWebサイトで構築されます。テクノロジー企業が、自社が所有しない製品を再販する場合も同様です。価格を下げる以外、他社との差別化を生み出すことは不可能です。サプライヤは価格を引き下げることができるし、また常にそうしているのです。
一方、ユーザがストレージをZFSで構築する、ネットワークをCrossbow(英語)で構築する、アプリケーションをMySQLで構築するなど、サンの製品を選ぶ場合、お金を払ったかどうかにかかわらず、サンにとっては機会が創出されています。将来的な可能性が生み出されているのです。これは、「プラスのオプション価値」と呼ばれます。
財務的な側面について細かい説明はしませんが、耐年制限における収益循環の純現在価値(英語)が1回の購入の価値を上回る場合、金銭的な価値を生じさせる製品やサービスは、無償で配布されるか (ソフトウェアのように、制限額がない場合)、助成(英語)さ れる (ハード・コストがある場合) ようになります。だから、無償のクレジット・カードや、無償の銀行口座、無償の携帯電話、1か月無償の家賃、無償のソーシャル・ネットワーキングなどが、 これほど存在するのです。テクノロジーの世界では、無償であるということは新しい基準になっています。
無償のマーケット
また、Amazon、Google、EBay、Skype、Yahoo!、Facebook、Hi5、
MySpace、Baidu、TenCentなど、インターネットで最も価値の高いブランドが「すべて」無償なのもそのためなのです。これらのブランド
は、他の大多数の消費者ブランドよりも訴求効果が高く、より親しまれています。テクノロジーの市場では、同じことがLinux、Java、MySQL、
Firefox、Apache、Eclipse、NetBeans、OpenOffice.org、OpenSolaris(英語)について言えるでしょう。無償こそがユニバーサルな価格です。通貨の換算も必要なく、幅広い市場に訴求しています。
ところで、Amazonはお客様が買い物をする際に手数料を取れるでしょうか?銀行は口座開設のときに手数料を取れるでしょうか?Googleは検索のと きに手数料を取れるでしょうか?サンはMySQLやOpenOffice.orgをダウンロードするときに手数料を取れるでしょうか?可能は可能ですが、 それによってこれらのブランドは数日のうちに崩壊してしまうでしょう。無償にしないということは、当然のことながら、費用をかけることができない、また は、その準備がないユーザにはサービスを提供できないということになります。つまり、対象が限られたものになり、競合他社がすでに無償の場合には、崩壊の一途をたどることになります。
Microsoftは、私が上記の企業に含めなかった唯一の会社です。私はMicrosoftを優れたブランドとみなしていますが、Microsoftは 製品の配布から利益を上げながら実際にほとんど「無償」とみなせる唯一の会社です。実のところ、Microsoftは世界中のすべてのPCにバンドルされ ており、これらのPCを使用するユーザには無償に見えます。Microsoftは配布により強固な力を蓄積しているため、PCを購入するときに Windowsの代金を支払っていると思っているユーザはほとんどいないのです。
そのため、WindowsのPCを使用する開発者 (サンの対象市場) にとって、Microsoftの製品は、事実上すでに無償なのです。(補足: Microsoftですら新しいユーザに訴求するために、いや応なく無償配布に移行(英語)してきていることを考えてみてください。ある時点で、すべての製品をすべてのコンピュータにバンドルすることはできなくなります。それは、日曜版を毎日欠かさず発行するようなものです)。サンが主なソフトウェア資産を世界中で無償配布しているのは、まさにそのためです。無償でない場合、ユーザと開発者は他社の無償製品を選択する (または、無償と思われる製品を単に使用する) 可能性があります。そして、ユーザが他社の製品を選択し、ビジネスやアプリケーションを構築すると、サンは再販業者になります。それは、サンのミッション でもビジネス・モデルでもありません。我々が目指すのは、あらゆる意味において無償のマーケットなのです。
私が、ブログの最初で触れた顧客は次のように言っています。
「サンを訪問したことは過去5年間ありませんでしたが、突然、サンは我々の開発者にとって重要に位置づけになっているようです」。この顧客は、 VirtualBoxからMySQL、Glassfish、ZFSまで、彼らの開発者が使用しているサンの製品が増加しているということを言っているので す。一部のユーザ、そして、ほとんどすべての開発者にとって、予算は金銭的に測られるものではなく、時間と注目度によって測られます。こうした顧客層の時 間と注目が欲しいのであれば、それを獲得しなければなりません。獲得すれば、そこに好みによる選択が生まれてきます。サンでは、主にプロプライエタリな製 品である競合他社の製品よりもこの好みの選択を推進しています。 サン製品はサンの看板
「選択の推進」という用語は、マーケティング業界でブランディングの説明のときに使用されます。ビジネスで
は、自社製品の認知または好みを高めるために、ブランディングまたは広告を行います。Nikeやトヨタの場合多大な費用を費やして「メディア(放送時間)
を購入」したり広告スペースを獲得します。これらを通じて、企業は自社ブランドを最適に表していると感じる、イメージやコンテンツを無償で消費者に提示し
ます。
Facebookはなぜ広告を出さないのでしょうか?それは、Facebook自体がブランド媒体だからです。Facebookを使用し てもらうことで、Facebookへの好みを促します。ユーザ数で測られるFacebookの顧客層は、世界中のほとんどすべてのメディア企業を凌いでい ます。Facebookがメディアを購入することは意味がありません。Facebookがメディアだからです。
サンは、テクノロジーを構築、展開または購入するユーザや組織など、焦点を置く顧客層に対して類似の手法を採用しています。無償で配布することにより、サ ンの製品は独自の顧客層を構築しているのです。そして、Glassfish、ZFSまたはNetBeansまで、製品を使用することにより、ブランドエク スペリエンス (サンが自社のビジネスをうまく進められれば、非常にプラスのブランドエクスペリエンス) が創出されます。それでは、なぜ従来の販路で広告を出さないのでしょうか?それは、毎日サンの製品を使用し、ポジティブなブランドエクスペリエンスを得て いるユーザ数が、世界中のほとんどすべての主な新聞の読者数よりも上回っているからです。
サンの技術革新を増加させ、サンには利益をもたらさない派生商品さえも推進することで、サンはオープン・ソースへの選択を生み出し、イノベーター としてのサンの認知度を高め、これらに匹敵する顧客層を構築できないプロプライエタリなベンダーに取って代わっています。好みによる選択は、サンとサンが 参加する巨大コミュニティにとって大きな価値があります。その価値には、認知度、市場浸透度、スキル開発、エコシステムの拡張が含まれます。健全なコミュ ニティとは成長するコミュニティのことです。
選択または好みが価値を持つ状況には、他に何があるでしょうか?多くのユーザと組織に選択されると、アプリケーション開発者を引き付け、 急速な選択をうながすでしょう。ISV (独立系ソフトウェア企業) の1社が自社のプラットフォームを選択すると、そのISVと連携する他のISV各社も選択するようになります。良いビジネスをすれば、自社のプラット フォームを選択するISV���ますます増え、エンド・ユーザにとってより魅力のあるプラットフォームになります。Red Hatが息の長いLinuxモデルを持っているのはそのためです。Oracleが、Oracleのデータベースを初めて認定するLinuxとしてRed Hatを選択すると、Oracleデータベースに依存するISVも、Red Hatだけを認定しました。それにより、Red Hatは市場での地位を強固に高めて、Oracleでさえもその支配力を弱めることができません。
つまり、選択がエコシステムを促進し、それによりさらに選択と拡張が促進される、というわけです。これが善循環であり、この循環は大規模な選択により始まります。
選択とは
それでは、選択とはどのようなものなのでしょうか?ここに、世界中に存在するサンの主なデータセンター資産に関し、無償ソフトウェアの選択による増加を表した図があります。
コンシューマ関連では、サンのオープン規格とデータ形式に関する見解を実際に促進するOpenOffice.orgが、毎週300万人近くの新規 ユーザに到達しています。これによりユーザ数が増加し、サンでは、ユーザ数を1億5000万~2億人と推定しています。これは、グローバルな循環の証拠で す。
サンの製品は、サンの看板であり、高性能コンピュータとグリッド・スケジューリング、Webデータベース、アプリケーション・インフラお よびデスクトップ仮想化と同様、多様なマーケットのユーザ、開発者およびOEM企業のソリューションにサンを組み込む最も効率的な手段の1つです。ソー ス・コードの無償配布とアクセスは、世界の開発者コミュニティ(英語)に 対するサンの投資です。サンは、コード、アイデアさらに時間を投資し、派生製品を促進および推進しています。サンは、そうすることによってのみ到達でき、 注目と関与を引き出すことができるユーザに訴求することで利益を得ています。お金が支払われなくても、これはプラスのオプション価値なのです。
選択を確認するもう1つの方法として、この「ピンクの点」で示された地図があります。この地図は、サンの製品がオプトイン登録からユーザ を獲得した場所を示しています。私は、サンが営業活動を行っていない地図上の場所にある点が好きです。フォークランド諸島の皆様、こんにちは。 Solarisをお選びいただきありがとうございます。 :)
この選択がもたらす価値は何でしょうか?検索、ショッピング、または銀行口座開設と同様、競合他社に向けるのではなく、サンのエコシステムに時間とエネル ギーを投資することを選択したという事実以外に、即座の価値はありません。世界的な規模では、これによりサンは、特許を持つ企業や真の革新を持たない企業 にとり、非常に手ごわい競争相手になっています。たとえば、プロプライエタリなストレージ企業が世界中のあらゆる場所で直面している状況を理解するため に、Googleで「ZFSはすごい(英語)」という文を検索してみてください。
しかし真の価値は、すべての無償のビジネス・モデルと同様に、「無償」の後にやって来ます。これについては、市場革新について焦点を置く、私の次回のブログで説明します。
この記事を閲覧、視聴、またはコメントいただき、ありがとうございます。
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*私はいつも、CIOの方々に、「Googleで検索することを従業員に許可している方はいますか?」と聞いてみるのですが、手を挙げる人はいません。:)
それから、英語が母国語でない読者および視聴者の皆様、ビデオでもっとゆっくりと話すように努力します。次回はさらに努力します。閲覧ありがとうございました!
Posted on 08:26午後 3 24, 2009 |


















