水曜日 10 17, 2007

木ではなく、お客様を抱きしめる

私の料理好きは友人の間でも知られていますが、これはもちろん、食べることも含みます。昨年、ある近しい友人からレシピ本をもらいました。Thomas Keller 著の『The French Laundry Cookbook』です。

これは素晴らしい本なのですが、レシピを試したのはまだ一度だけ。残念ながら、複雑すぎて作る暇がないのです (私みたいな人種向きではないことは、この本の序文にも書いてありますが)。しかし、この本のいいところは、著者が《効率のよさ》にこだわっている点でしょう。食材からレストランの経営に至るまで、あらゆる面での効率のよさ。「料理人はどんなものも無駄にしちゃいけない」。偉大なシェフとレストランは何ものも無駄にしないのです。

さて、この「無駄」というのは広い意味を持つ言葉です。アメリカで 1 日に廃棄処分されるペットボトルが 6 千万本にのぼるという事実に対して憤りを覚える消費者の気持ちにぴったりの言葉でしょうし、その一方で、データセンターの情報主任が 10% という運用効率を目にしたときの落胆も、この言葉が如実に言い表すのではないでしょうか。ここまで行くと、前述のレストランと同様に、困ったを通り越して《無駄》、何はともあれ《お金の無駄》となるわけです。

5 年ほど前のことになりますが、私たちは単純だけれども意味のある賭けをしました。今後、Sun のお客様がデータセンターの《無駄》探しに躍起になるだろう、と。また、コンピュータの電気代がそれ自体の価格を上回り、電力の無駄遣いをなくすことで利益を上げようとする人が増えるだろう、とも予測しました (車よりもガソリン代が高くつくことと同じようなものです。ところで今日は、とうとう 1 バレルあたり 86 ドルまで跳ね上がりました)。

Sun では、Niagara 1 という省エネ型のサーバーを 1 年半ほど前に売り出しました (この名前は、処理能力を暗にほのめかしたものです)。この製品の発表会は、不動産価格の高騰が世界で最も激しいロンドンで行いました (スペースの有効利用に関しては、Sun のお客様の多くも頭を悩ませていらっしゃいます)。

Sun では長年の研究開発の末、常軌を少し外れた結論にたどり着きました。つまり、是が非でも速度を重視する方針を取りやめ (これは業界初の試み)、消費電力の効率をよくして電気の無駄遣いを減らすという構想を打ち出したのです。たとえて言えば、F1のレーシングカーではなく、大勢の乗客を乗せて走る効率のよいバスといったところでしょうか。また、同様の論理で、1 台のサーバーにつき 1 つのアプリケーションしか実行しない効率の悪さを正し、同じマシンで多くのタスクを同時進行すべきであることも提案しました。当時はかなり異端色の強い考え方でしたが、その後、「仮想化」という名で呼ばれるようになりました。

デスクトップ派のユーザーにはバカにされましたが、それも当然でしょう。一見速度が遅いだけのチップなど、たとえそれが電気代を節約したり、1 台で複数の OS を実行できスペースの有効活用に貢献したとしても、ホームユーザーの食指はびくとも動きません。もっとひどいことに、消費電力やスペースと引き換えに、浮動小数点の精度計算サポートを廃止したのです。浮動小数点処理に依存するゲームをデスクトップでプレイするユーザーには総スカンものですが、浮動小数点処理をほとんど使用しないデータセンターでは気付かれませんでした。

このように是非が分かれる中、半年で合計 2 億ドルの収益を達成しました。先の四半期には、Niagara 1 をベースとしたシステムの年間売上がもう少しで 10 億ドルに手が届くところまで成長しました。1 年半前の冷ややかな反応はまるでウソのようです。Niagara 1 システムの用途は限られていますが (核分裂のシミュレーションは避けてください)、インターネットの作業負荷 (データベースや Web サーバー、アプリケーションサーバー) には業界トップの省エネシステムとなっています。

英語では、環境保護を示す言葉に「木を抱きしめる」(hugging trees) という表現がありますが、それでは Sun は「木を抱きしめて」いたのでしょうか。そればかりではありません。Sun はお客様を抱きしめ、守ろうとしていたのです。お客様の悩みの種でもあるスペースと電力は、冒頭のシェフも言うように、「無駄にしちゃいけない」ものだからです。

Sun は 2 週間ほど前に次世代システムの Niagara 2 を発表しました。このシステムには、ここには書き切れないほどの新機能やパフォーマンスの向上が盛りだくさんです (概要はこちらをご覧ください)。

チップの製造プロセスを縮小し、クロック速度を上げて全体的なパフォーマンスをパワーアップ。スレッド数は 2 倍 (8 コア x 8 スレッド = 64 スレッド) になり、xVM (以前の Project Virginia) を経由した仮想化機能を使用しています。このため、1 台のシステムに搭載された Niagara 2 のチップ 1 つ当たり 64 個のオペレーティングシステムを個別に実行できます。アプリケーション・パーティションが分かれているのではなく、Solaris を初めその他のリアルタイム OS や Linux、BSD などを含む 64 個の個別のオペレーティングシステムを実行できるのです (私たちが知る限り、このような技は他のどの製品でもパフォーマンスをかなり落とさないと無理です)。

このサーバーのマイクロプロセッサには、インターネット上でデータを保存・転送するときに使う暗号化アルゴリズムが組み込まれているので、セキュリティのための外部装置を使う必要はありません。さらに、デュアル10 Gigabit Ethernet のネットワーキング機能をチップに組み込み、さらに無駄を省きました。Niagara 2 は単なるサーバーではなく、包括的なシステムとして成り立っているのです (システム・チームの気概の表れです)。Niagara 2 システムの第一弾は、ストレージ・ファーム向けのハードウェアによる高速暗号処理を採用したヘッドエンド型のシステムとしても、PBX やファイアウォール、ルータしても、驚くべき性能を発揮します。そして、浮動小数点処理機能も復活したので、レンダリングや計算の速度も飛躍的に向上しました。

しかも、同じ作業負荷での消費電力を減らすことに成功しました。つまり、処理量が同じでも必要な電力が少なくなります。

これは、木を抱きしめる行為でしょうか。いいえ、私たちはあくまでもお客様を抱きしめているのです。Sun は「グリーン」な企業でしょうか。まだまだですが、いい一歩を踏み出したといえるでしょう。

今は、環境への影響を配慮した Sun の取り組みが軌道に乗り出し、2 年前に Sun が始めた省エネ対策と仮想化の構想がやっと現実味を帯びてきたところです。しかし、この現実味は人によって異なります。今は、無駄にしちゃいけないことを知っている人にしか感じられないでしょう。Niagara 2 の無料試用版をご希望の方は、ここをクリックしてください。

コラムニストの Kevin Maney 氏はいつも的を得た記事を書いておられますが、環境保護責任が一時的なブームだとするこの記事はちょっと違うのではと思います。ウエストサイズに敏感な消費者が高炭水化物ダイエットを避けることと、石炭を燃料とする新しい工場の建設について政府と話し合いを持つことや、経営者が効率改善対策を講じること、あるいは CEO が「我が社はこれからカーボン・ニュートラルを目指す」と宣言した会社の一社員であることとでは、まったく次元が違うのです。

非効率をなくすことには、今も、そしてこれからも商機があります。はっきり言うと、それが私たちの主なモチベーションです。それをどう解釈するかは、皆さんにお任せします。

これと平行して、Sun が二酸化炭素の排出量削減や無駄の排除に努力し、企業として社会にどのような貢献ができるかを明らかにした場合、Sun 製品の導入を検討するお客様にはどのような影響があるでしょうか。必ずポジティブな影響があります。これは私の経験から知っていることです。

また、雇用主としての競争力にも影響します。今いる Sun のスタッフやこれから入社するであろう人たちは、効率や企業としての責任をどれだけ考えているでしょうか。少なくとも Keller のレストランと同じか、それ以上でしょう。

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