Katsuya Tanaka - 田中克哉 のブログ

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20060626 2006年 6月 26日 月曜日

内部統制の違反の可能性がある会計処理

以前の内部統制違反になる事例(1)では、内部統制のゴールとその違反となるようなケースをあげて本来の目的みたいなものを再確認してみましたが、今回はさらに身近な例をあげて、何が問題で、会社は具体的に何をしなければならないのかを考えてみたいと思います。
以下にあげる例は以前私の勤めていた会社での統制あるいは私の知っている会社で行われていた統制がベースになっています。

例1:期をまたがった受注(架空売上のリスク)

A社の第3四半期である7-9月の受注を目指してX社に販売活動を行っていた。営業的には過去に販売実績もあり担当者同士が懇意の中であった。9月も終わりに近づいたとき、1億円程度のソフトウェア販売が見込めることになったが、X社の都合で
I. 実際の発注は10月以降の下半期予算で発注したい。
II.そのため、正式な社判のついた発注は10月以降になるが、9月末の時点で担当者名の発注書ならだせる。
III.固定資産の圧縮の指示がでているので、簡単に資産計上できない。従って、ハードソフトともに公式な納品は来年1月以降にしてほしい。

となりました。
この取引(1億円)を9月末に売上計上するか否か?

私が知っている範囲の外資系では上記の例では第3四半期に売上がたちません。正確に言うと昔は売上をたてていましたが、今では立てられない会社のほうが多いと思います。

この問題がどうSOXなどと結びついてくるかについて考えて見ましょう。

仮に第3四半期の売上目標はちょうどこの1億円を足すことにより、100%達成するとしましょう。当然のことながら四半期ベースの財務の数値をCEOクラスの人が「Quiet Period
を経た後に口外します。会社の業績は順風満帆、株価も順調でしょう。

さて、10月に入り、下半期の人事異動で突然X社の担当者が移動してしまったとしましょう。当然のことながらX社の前任者が担当していたことが正しく引き継がれるとは限りません。場合によっては前任者の担当者印での発注書はなんら効力がなく、プロジェクトそのものが稟議をあげるところから再出発する可能性もあります。
さらには 後任の担当者がいればまだ良いですが、リストラの嵐があれまくっていた頃は該当する人も部署もなくなってしまったということもありました。

この1億円の売上はどうなるでしょうか? 売上の回収見込みは立つでしょうか?

納品もしていない、もちろん、請求書も発行していない、しかも、正式な発注書もない。
なのに、売上を上げてしまった。
納品はおろか、請求書を発行していないのだから、貸倒引当できないかもしれません。
監査の人たちはどう判断するでしょう? 仮に査察が入ったらどういう判断をするでしょうか?

客観的には「存在しない注文を売上に計上した」つまり「虚偽の財務報告」をしたという判断をされる可能性を否定できません。

A社の営業は自分の会社の目標達成のため営業としての力を極限まで発揮して担当者の発注書をもらったのですが、結果として会社を危機に陥れることになりかねません。

これを防ごうと思ったら、何ができるでしょう。第1には売上計上ルールを厳しい方向へ変更するという内部統制でしょう。

たとえば、
  1. お客様からの注文書は「社判」がないと無効(あるいはEDIのみ有効)
  2. 納品が四半期以上先の場合には当期ではなく、来期の売上にまわす
あるいは私が以前いたある会社では
という恐ろしく厳しいルールを布いていました。

日本ももうすぐ四半期ベースの決算発表になるので、このケースに引っかかってくる会社は増えると思います。
いわゆる「期末の押し込み」が内部統制違反となる可能性は非常に大きい時代になったのではないかと思いますし、現に日本の企業でも押し込みを一切行わせない営業指導をしている会社もあります。

繰り返しになりますが、売上計上ルールとしての内部統制の強化やITシステム上での何らかのチェックあるいは記録が必要になるのはもちろん、このような事象での受発注行為はいけないという社内教育も必要になってくると思います。

Posted by ka28_tnk ( 6月 26日 2006年, 01:15:16 午後 JST ) Permalink


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