Katsuya Tanaka - 田中克哉 のブログ

思いついたこと、発見したこと、そしてビジネスになりそうなこと。


« なぜ、SOXは制定されたか? | メイン | ヒディング恐るべし »
20060608 2006年 6月 08日 木曜日

内部統制の違反になる事例
前回の終わりに予告した「SOX法対策と内部統制を防ぐ仕組みの矛盾」を書こうかと思いましたが、その前に内部統制違反になるのはどういう事象かということを書いておきたいと思います。

「内部統制」そのものはCOSOのフレームワークのターゲットにあるように、以下の3点にフォーカスします。

ここで、頭に入れておいたほうが良い点は3点目の「関連法規の遵守(コンプライアンス)」です。
大きな意味での「内部統制」という概念では コンプライアンスは非常に重要な問題です。
しかし、SOX法対策という点ではこれだけ、経理や財務からちょっと離れているように見えてしまいます。ですから、人によってはSOX対策ではコンプライアンスは後回し、と勝手に解釈している人もいます。

直接的に財務につながらないので少し不思議に感じる人もいるかもしれませんが、実際のケースを想定すればなぜ、たとえ財務系に目が行きがちなSOXでもこの項目のプライオリティは下げられないのを理解できるのではないかと思います。

例1:贈賄
1994年におきたIBM アルゼンチンの対アルゼンチン国立銀行への贈賄事件


この事件は 下請け契約にまつわる契約金額を実際の額よりも高めに受発注し、浮いた金額で賄賂を捻出しています。さらに、この契約にまつわる取引に関する虚偽の書類をアメリカの証券取引委員会(SEC)に対して、提出していたため、アルゼンチン国内はもとより、SECからも罰金を言い渡されています。(この事件は当時非常に大きなニュースになりました)

このような事件が起きた場合、何が起きるでしょうか?発覚するタイミングによりますが
考えられるケースはつぎのようになるのではないでしょうか?

・受発注契約そのものが解除され「なかった」ことになる可能性がある
・「なかったこと」になると過去にさかのぼって売上の「減額=修正」が必要になる
・過去の売り上げを修正することをSECに「修正申告」する必要性があるかもしれない

そうです。実態としては「虚偽の申告」に近い形になってしまうわけです。

そうするとどうなるでしょう。
現在であれば、SECに対して修正申告をするあるいはその予告をすることになります。そのニュースが流れた瞬間に株価は(一時的かもしれませんが、)一気に下落します。
つまり、一般の人を含む投資家が不利益をこうむるわけです。

例2:架空の売上
日本では日常茶飯事的に起きていた事象です。(過去形にしてよいものかどうか疑問は残りますが)そのため、コンプライアンスが徹底していない企業では闇に葬られてしまうこともありますが、あえて、実例をあげると最近おきたNECの事例
があります。

なんと売上363億円、営業利益で93億円の架空の売買です。
NECのリリースにもあるように、たとえ子会社であっても連結決算対象であったため、財務諸表の修正申告の可能性を自ら示唆しています。
(NECの場合は自ら情報を積極的に公開することにより、それほどのダメージは受けていないように見えますが…)

この事件の場合、
・取引先と結託しているので、受発注関連書類は真のものらしい
・実際に売買代金等が支払われている
ので、発覚が遅れたとされていますが、会社としては(あるいは財務報告書にサインする経営者としては)何とかこのようなことを防ぎたいと思うでしょうし、内部統制で何とか防ぎたいと思うのではないでしょうか?

上記の例でもわかるように、財務諸表にまつわる数値や関連情報の「真正」あるいは「不正がない」ことを担保しようと思うと関連法規の遵守も、大きなウェイトを締めておかなければいけないということにいきつき、結果的にたとえSOXとは一見直接関係内ようなことでもチェック機構が働くような業務プロセスあるいはITでの統制を考える必要があるということになります。

つまり、SOXの目的である「個人投資家の保護」の観点に立てば、コンプライアンスの観点からの対策も行っておかないと結果的に内部統制が利かず、企業が苦しい立場に追い込まれるわけです。

次回、もう少し、内部統制違反に関して思うところを書いていきたいと思います。
Posted by ka28_tnk ( 6月 08日 2006年, 03:44:33 午前 JST ) Permalink

投稿されたコメント:

コメント

コメントは無効になっています。

Today's Page Hits: 98