20060124 火曜日 1月 24, 2006

Toshiba Acquires WH


世の中「活力門ショック」一色なのに逆らう訳ではありませんが、東芝さんのウェスチングハウス買収、は Big News で驚いてしまいました。WH が売りに出ていること、東芝さんが、GE = 日立連合、三菱重工業グループ、と並んで名乗りを上げて居られることも承知していましたが、まあ GE かな MHI さんは意地でも頑張られるのかな、と思っていましたから...

WH は元来は総合電機メーカーで、原子炉はその旗艦事業だったのですが CBS を買収した時に、旧本体事業は整理して、すっかりメディア企業に変身してしまいました。今回、東芝さんが買収したと伝えられる部門はその際、英国核燃料公社 (BNFL) に売却された経緯です。BNFL は、コールダーホール型として知られる黒鉛減速炭酸ガス冷却炉を開発して、56年に世界最初の原発の商業運転を開始した、原子炉業界の名門で東海村の一号機も (すでに休止解体) BNFL からの導入です。旧 WH の原子炉事業は、発電用と原子力潜水艦のエンジンが二本柱で、確か原潜用は静粛性の問題 (?) で WH の独占だったと思いますが、ここは当然米国に残っているのでしょう。BNFL は WH の買収とほぼ同時にスイスの ABB (Asea Brown Boveri) の原子力発電部門も買収していて、まあ名門復活、の意気込みだったのでしょうね。

WH にせよ、ABB にせよ、原子力発電設備事業の売却に踏み切ったのは、欧米では長い「原子力発電冬の時代」があったからです。ご承知の、ペンシルバニア州のスリーマイル島事故 (79年) やウクライナのチェルノブイリ事故 (86年) が最終的な引き金を弾いた、でしょうが、米国ではそれ以前から新設をやめていますし、チェルノブイリを契機に、ドイツやスウェーデンでは原発の新設を行わないばかりでなく、既存の炉も廃止する、になってしまいます。凄いのはリトアニアの EU 加盟に際して、原発を止めたら入れてやる、を条件にしたことで、確かに「チェルノブイリ型」ではあるし、安全性に軽水炉よりは問題アリ、とは言うものの、チェルノブイリ事故そのものは Human Error ですから、小さい国で国内需要より多い発電量、なのに、キツイ話ですが、雰囲気がよくわかります。チェルノブイリ以降に既存原発のあった国での新規立地は、フランスと日本くらいで、最近アジアでチラホラ、という程度でした。世界的に見れば、「発電用原子炉プラント事業」は儲からない時代、でした。

その雰囲気が変わるのは、カリフォルニア大停電、を始めとする電力危機に見まわれた米国がスリーマイル以来の凍結政策を捨てて、原子力発電回帰を打ち出した頃からでしょうか。実際には、かなり経済的動機、といいますか、一つには低落していたエネルギー価格が Pick Up し始めたこと、もう一つは原発のオペレーション技術が確立して稼働率が上がっで固定費部分が大きい原発の発電コストが明らかに下がったこと、が大きい、と考えられます。ヨーロッパでもスイスで原発廃止の国民投票が否決される、や、フィンランドで二十年の凍結を解除して新設に踏み切る、のような動きが出てきていますし、スウェーデンで進んでいた原発廃炉、も足踏みしています。中国や韓国では新鋭炉が続々と稼働しています。脱原発、を粛々と進めているのはドイツくらい (苦しみながら進めている、が英国だが、英国にはすでに民族資本の電力会社がなくなっている) で、デンマークのような原発がなかった国で風力発電が推進されていたりしますが、あのヨーロッパでさえ原発に目が向きだしています。

そこへ追い風、は、エネルギー価格の高騰、と、二酸化炭素の排出規制、いわゆる京都議定書問題、です。

( 1 24 2006, 01:46:56 午後 JST ) Permalink