Excessive Adaptation (1)
過剰適応、という言葉は最近は精神医学的な意味で取り上げられることが多いのですが、もともとは進化論の世界の用語です。恐竜はなぜ滅んだのか、の類ですね。さすがに恐竜時代の話、になると分からないことが多すぎるので眉唾になってくるんですが、サーベルタイガーはなぜ滅んだのか、となると割と最近 (?) なので、その他の要因、がつぶせますから、段々説得力が出てくる。過剰適応そのものが悪いのか、は、「過剰」に Negative な意味が含まれていますから、悪いと言えば悪いんですが、ニッチで生き抜くためには、過剰適応やむをえない、だってありますね。コアラはユーカリプタスしか食べない、だから多摩動物園にコアラが来ると夢の島にユーカリ植えて、になるんですが、で、ああいうぼんやりした「原コアラ」の群れの中で、ユーカリの葉っぱが好きで木登りが上手になった連中は生き残ったが、地面でぼんやりしていた連中は生き残れなかったのかも知れません。ユーカリしか食べないとなると、もしユーカリを食い荒らす昆虫、とか、ユーカリを滅ぼすような何かが起きると、コアラは共倒れで滅びてしまう。滅びないことがエラい、では必ずしもなくて、ゴキブリはそれこそ恐竜時代よりもっと前から脈々と生き続けているからエラいか、というと、自分は結構エラいんじゃないか、と思いますが、まあ議論のあるところでしょう。
最近「Web 進化論」が話題になりました。社会系を自然系になぞらえる、はそんなにきっちり同期するようなものではないですから、議論としては粗雑になるんですが、ヒントというか、何か Inspire するものはありますからその限りでは魅力的です。自分は「Web の進化」を否定するつもりは毛頭ないんですが、でも、進化、って、過剰適応の過程もつきもので、Web が Network を発展させた、そして Web はどんどん進化 する、それに Network が過剰適応していく、それに... のようなことは起こりガチですね。Web Contents が豊富になる、だから Ether はどんどん早くなる、じゃあ SCSI を IP パケットでくるんで、は、そのアラワレの一つじゃないか、とか... NetBurst や 600mm2 ダイ、だって、「それを可能にする Technology」への、まさしく過剰適応で、それを可能にするTechnology の進化、は素晴らしいことなんですが、過剰適応は素晴らしいことだったりしない。ネオ・ダーウィニズムの世界では、過剰適応の一歩手前のところが次の進化を加速する、という考え方もありますから境界は微妙だと思いますが。
今はご時世柄もあって、どうも否定的に見られているんだと思いますが、性淘汰説、は、Technology 進化論、でも有力な仮説だと思います。性淘汰説、は、分かりやすい例で言うと、孔雀 (に限らず鳥類一般に、でもありますが) はなぜ雄の方が美しい尾羽を持つのか、で、これは雌孔雀を引きつけるための繁殖戦略であり、美しい尾羽を持つ雄孔雀が繁殖に成功する確率が高いから、どんどん孔雀の尾羽はケバケバしくなった、ですね。(今はどの雄孔雀も美しい尾羽を持っているから進化相は安定している)それが過剰適応になるかどうか、は、まともに歩けないくらい長くなるとこれは「過剰」だし、もし、羽がキレイだからきっとおいしいだろうと思う動物が一杯居れば、生存戦略としては失敗、になるんですけど、幸い自然界ではキレイなものは有毒であることも多いんで、何とかなっているんでしょう。性淘汰説と過剰適応、でいうと、どうも「繁殖戦略」としての雄だけに起きる過剰適応、はサーベルタイガーの牙、のように、種の滅亡に繋がることが多い。 でも、例えばキリンの首は長い、は、あの長さは過剰適応っぽくて、遠くまで見えるから安全だ、は、そんなことない、遠くからでも目立つじゃないかに賛成なんですが、ああいう雌雄ともに持ってる「過剰(気味)適応」は、何とか折り合いがついていて、過剰とまではいえないような傾向はあると思います。
( 8 07 2006, 08:47:15 午前 JST ) Permalink

