Ivan Pavlov (2)
パブロフの犬のような条件付け、を解消する、は、ベルを鳴らしても餌が出てこない、が度重なれば、まあ徐々に解消していくだろう、は、ごく自然なのですが、それだけではなかなか解消しない。実験としての「パブロフの犬」は、どんな動物でも、どんな条件付けでも均しく成立する、ではなくて、犬は「従順だから」条件付けしやすい、もあるでしょうし、そもそも「パブロフの犬」の実験は、条件付けによって「餌が来なくても唾液 (でしたよね、胃液、だったような気もしてきた) が出る」なんですから、すぐには「条件付け」は解消しませんよ、が、実験の意味、でもあります。じゃあどうすれば「条件付け」が解消するか、で、基本的なのは「ベルが鳴らなくても餌が出てくる」ことで、特に効果が大きいのは「ベルが鳴る、とは、違う種類の刺激で餌が出てくるように、違う条件付けをする」ことだとされています。CPU の Performance という「餌」の条件は、何もクロック周波数だけではなく、Dual Core もあるし、大容量キャッシュもあるよ、というベルを最初に鳴らしたのは、2,001年の IBM さん (Power 4) で、これはなかなか凄かったのですが、IBM さんは「完全主義」というか、Power 4 は「1GHz 超えました」も大きな目玉でした。この IBM さんの「満点の答案」は、Intel さんと音色が違うは、勿論分かるんですが、なまじ満点だった分、世間様には「クロックだけじゃ ありません」という明確な「違う刺激」として作用しなかった。意識的に、即ち、クロック条件付けの維持、は IBM さんにとっても利益、と判断されたのか、クロック条件付けは、そう簡単には解消できないから回避されたのか、は、どっちだったんでしょうね。
Power 4 搭載の最初の機械は大きなサーバで、Sun はそこで大きなビジネスをさせて頂いていましたし、Sun が目指していた開発の方向性を先行して実現されていたので、自分にとっては Power 4 のベルは大警告音だったんですが、世間、という程広い範囲に、Power 4 の凄さ、が広まった訳ではなかったのかも知れませんね。Power 4 凄かったね、は、身内では、そうでしたね、なのです が、どこでもここでも話が合う、ではない。この業界では、五年前は大過去、もうとんでもない昔話、もありますが... もともと Power 4 の開発 Target は「SPARC ゴトキ」ではなくて、Itanium だった、と伺ったことがありますが、その頃の Itanium (Merced) は、大容量キャッシュは採用されたものの、階層化のバランスがタコでそこも Performance の足を引っ張っていて、大容量キャッシュ? 使えねぇ、の雰囲気もちょっとありましたね。。Power 4 の大容量キャッシュは、そこの処理がお上手で、Application によっては、「この Performance は殆どがキャッシュの貢献」という場合もあったと思いますが、Merced でハズレだった印象で「Power 4 凄い凄いと言うけど、本当に凄いのは、キャッシュが効いている場合だけで、そうじゃなければ、普通の石ですよ」が負け惜しみにしか聞こえなくて往生したのを覚えています。
Itanium は強敵だ、から生まれた Power 4 には、とても大きな元手がかかっていて、大きな元手かければ何でも成功する、というものではありませんが、その成功は、IBM さんらしいとてもオーソドックスな成功だった、と考えられます。AMD さんの成功、は、それとは対照的で、Itanium は Intel さんの弱点だ、から出発している。Itanium の開発チームの Intel さん側の主力部隊は 旧 Alpha チームでしたから、人脈的なつながりもあってよく見えた、もあるのかも知れないし、Power 4 と K8 の開発スタート時期が違う、も大きいと思いますが、さすがに長年 Intel さんと正面戦やって居られただけあって、鋭いです。Intel さんは、IA-32 と IA-64 で、両方で満点を取りたい、IBM さんの百点満点志向、はまだお金と時間を掛ければ達成可能かも知れないけど、 二百点取ろう、は甘いんじゃないの、そこが (両方で満点、の二百点志向が) 弱点、と見抜いて、一見 AMD さんとはご縁の薄そうな 64-bit の Server / Workstation 向けの世界に、勝手知ったる IA-32 の 64-bit 化を切り口に攻め込まれた、は、 コロンブスの卵ですが、AMD さんだからこその大技でもあります。
( 8 17 2006, 08:53:41 午前 JST ) Permalink

