20060818 金曜日 8月 18, 2006

i432, i860...


Itanium の肝は、命令 Set としての IA-64 であり、Intel さんは片方では IA-32 の「呪縛」をかけながら、片方では IA-32 から自由になりたい、それは理屈としては正しいだろうと思います。今考えれば Itanium には形式聴牌の IA-32 モードなんか組み込まずに SW Emulation Only ですよ、と言っておけばボロがでにくかったような気もするんですが、ヒトには呪縛かけながら自分だけ自由になりたい、なんて、そうそううまく行くモノではありません。両方で満点取りたい Intel さんの「IA-64 へのごだわり」を逆手にとった形で、AMD さんに「素直で分かりやすい」IA-32 の 64-bit 拡張、を打ち出されて、当初は抵抗して居られたんですが、とうとう「AMD 互換」の EM64T 採用を余儀なくされる。IA-64 で、新しい "Software Paradigm" を、が、Itanium の「根幹戦略」であり、成功すればバランスの取れた展開のはずだった VLIW / EPIC で Performance を稼ぐ、は、「IA-32 の復活」で夢のまた夢、になってしまいます。AMD さんのこの辺の動き方、は絶妙で、Intel さんが「IA-64 の夢」に自縄自縛、をよく読まれている、というか、Server 用と考えると IA-32 の 64-bit 拡張、は「そんなモノは IA-64 の夢が実現すれば...」で、無視したくなる。でも Server 用でも 64-bit Addressing 可能な IA-32 が欲しい、と いう用途はいくらもあるし、そこは「稼ぎどころ」です。実は、敵は本能寺、で Desktop PC だって、メモリ沢山積みたい用途、が広がっていて、そこはまた伝統的な AMD さんのファンが健在ですから、そこにも大きな Business Chance がある。Intel さんもそこに舞い戻ってこなくては仕方なくなるだろうが、その頃は AMD さんの土俵になっていて、そこでの迎撃なら勝算あり、なんでしょう。

Intel さんといえば Moore の法則、で、NetBurst みたいなのが DNA と思い勝ちだし、実際結構支配的な遺伝子だと思いますが、IA-64 の方向性、も、潜在遺伝子としては、根強いものがあります。これは「歴史」の世界ですがIntel さんの「最初の 32bit」である iAPX432 (81年にリリース) は、当時 OS/2 の呪縛でヘタりかけていた 16bit x86 から脱却すべく、全くの新設計 (DARPA がこういう石を、と Suggest した、という説も) で 32bit の新しい石、をお作りになったんですが、権限管理を CPU が直にやってしまう Security 機能、とか、Object Oriented とか、ハジけた思想で、「軍用 Computer」には使われたのですぐ消えてしまったわけではないですが、「これからの汎用コンピュータはこれだ」の意気込みとはほど遠い末路でした。歴史の世界、では、余りに斬新だったので、「地味な」Motrola 68000 に市場奪われて、泣き泣き 16bit x86 の 32bit 拡張である 80386 (85年) を出すことで危機を脱した、みたいな Position でしょうか。DARPA 絡みで Ada と set で使用されたこともあって、Ada エンジン、という受け取り方もあるようですが、Lisp エンジンや Prolog エンジンのような意味での「高級言語」指向はなく、あくまで「汎用」を目指した Chip です。

iAPX を第一幕とすると、第二幕は i860 (89年) です。これはまだ記憶にも新しい (?)し、自分がおぼろげな記憶で解説するよりも、日本語の Wiki にも項目がありますから、そちらを読んで頂くとして、32bit から 64bit でも、i432 の時のように、「脱 x86、新しい命令セットで」を指向されていたんですね。Intel さんの VLIW へのご執着の淵源、でもあります。プロセッサ設計上のマイクロ・アーキテクチャとしては i860 が発祥、も随分あるし、80年代後半、は Intelさんに限らず、野心的な設計の花盛りで、「でも、何となく生き残ったのは SPARC のような地味な Chip なんだよな」と 90年代始めには言われたものです。(正確には、イモな Chip だか、ダサい Chip だか、と言われたような)AMD さんは「Intel 互換」屋さんとは言え、i432 や i860 のような、 「新しい Intel」には見向きもしないで、x86 一本槍、が DNA というか、「新しい」はコケる、を歴史的に学んで居られた。でも「二度あることは三度ある」なのか、「三度目の正直」なのかは両方あるところですから、AMD64 を対置する、が戦略で、これは見るべきところをちゃんと見ていないと、なかなか取れない戦略だと思います。

( 8 18 2006, 09:06:47 午前 JST ) Permalink Comments [3]