Ogallala Aquifer
キロ二百円近くの「国境調整金」を払わないと Pay しない南西諸島のサトウキビ農業、を「それでも保護」しているのは、じゃあ今の南西諸島のサトウキビ農業を他の作物に転換すれば、「離島経済」が成り立つのか、というと、それは No だから、が理由です。(「サトウキビ以外の作物が成り立たない」一番単純な理由は、南西諸島が台風常襲地帯で、一般の作物は倒伏すると全滅ないし大幅に収量が落ちるのに、サトウキビはそれほどでもないから、です) さすがに、南西諸島のサトウキビからのバイオマスエタノールの商業生産は論外ですが、多くの伝統的なサトウキビ産地は、「サトウキビ以外の作物を栽培しようと思ってもできない」ところが多くて、そこでは、「他の作物の栽培も可能だが、歴史的蓄積もあってサトウキビに最適」のブラジル (でもサンパウロ州周辺) には、生産費で及ばないので、現状の (半ば人為的な) 低価格環境下では、それほど元気がないのは事実です。しかし、それでも、他の作物で Pay している耕作地で今から「サトウキビに転換」しようと、比較すれば、ヒケを取らないと考えられます。「現在の主産地」であるブラジルでの未利用地も含めて、「他の作物」との競合なしで相当の増産が期待できる。これはサトウキビの有利なところです。
トウモロコシの生産適地、は地面の面積としては、サトウキビよりずっと広いと思われます。ただ、ネックは水 (灌漑) にあって、今でもトウモロコシの作・不作は、降雨量に大きく左右される地域が多いし、米国のように灌漑への投資が進んでいるところでも、今度は「利用可能な水の総量」に制限があります。今、他の作物が栽培されているところをトウモロコシに転換する、は、可能で、だから、他の穀物の相場も連れ高になったりするのですが、新たに、今、他の作物が栽培されていないところに、トウモロコシ畑を飛躍的 に増やす、には制約が大きい。日本は降水量が豊富で、水管理は主に余水の排水どうするか、の国ですので、ピンと来ないんですが、日本の降水量は、温帯としては異様に高い。内陸部分の割合が高い国、と比較すると多いのは当たり前なんですが、西「海岸」の、例えばカリフォルニアと比べても降雨量は四倍に相当 します。米国で 1,000mm 以上の降水があるのは、南北戦争当時の旧南部連合地区位のもので、米国の「穀倉地帯」は、慢性的に水不足です。幸いにも中部地区には、オガララ帯水層と呼ばれる、日本の国土面積より広大で豊富な地下水層があり、 そこから汲みあげた地下水による灌漑が、穀物生産 (主として小麦) を支えてきました。しかし、さすがに百年近く汲みあげていると (本格的に汲みあげるようになったのは、電気が普及した 1930年頃から) その水位も下がってきます。それだけでなく、地下水には大なり小なりミネラル分が含まれているし、少雨地域を流れる河川には塩分含有量が多いので、「灌漑農業」は、それを洗い流すような降雨がない場合、どうしても塩分が徐々に濃縮されて「塩害」を引き起こします。トウモロコシは比較的耐塩性の高い作物ですから、多少の塩分蓄積があっても、何年かに一度は洪水でもあって、洗い流して呉れるようなところなら、長期に営農可能ですが、一般に「水不足」(近年は、塩分の蓄積を防ぐため、植物の必要量 + 蓄積され た塩分を流すための給水、が必須になりつつあり、単位面積当たりの給水量は増加傾向) を克服できるような「新規の営農地」をトウモロコシの適地で見いだすのはかなり困難です。その点、サトウキビ適地は、少なくとも年間の降雨量という意味では十分な熱帯地方であり、そこにネックはありません。
世界の食糧問題、は、水は天から降ってくるものと決めている日本人にはわかりにくいんですが、「穀物生産には水が必須」問題で、例えば中国の食糧輸入量、は、趨勢的には人口問題でも、単年度を取ってみると、東北や内陸部の降水が少ないと輸入量が増える、が大きい。折角「最も貴重な農業資源」である降水が豊富なのに、農耕適地が少ない日本、は、世界の農業から見ると、かなりユニークな国です。
( 12 19 2006, 08:54:45 午前 JST ) Permalink

