20061227 水曜日 12月 27, 2006

燃費こそ環境性能


今月 15日に国土交通省が、2015 年度を目標年度とする新しい燃費基準の中間とりまとめを公表しています。乗用車で言えば、13.6 Km/l から 16.8 Km/l (JC08 モード) へ 23.5% の改善、が具体的な数字、ですね。「燃費の改善」そのものは、ここだけが決め手という一点突破ではなく、要素技術を一つ一つ多角的に取り上げて、その総合として実現されるのですが、なんと言っても乗用車レベルで言えば、「消費される燃料の本来の (燃焼) エネルギー」の 15% 程度が走行エネルギーに転換されているに過ぎませんから、原理的には十分「やろうと思えば出来る」数字です。全世界の乗用車で 23.5% の燃費改善は「バイオマスエタノール」に換算すれば、全世界のトウモロコシ穀粒の全収穫をそのままエタノール生産に投入するのに匹敵する効果であり、トウモロコシの全収穫をエタノールに、はどうみても絵空事ですが、23.5% の改善、は、現実的な Technology の積み上げで充分実現可能です。Honda さんは Web の Top Page に、「Eco、燃費こそ環境性能です」と掲げておられますが、石油を湯水のように使う代わりに、農産物を大量投入する、は、どう見ても Eco とは言えない、本命は古臭いですがやっぱり「節約」なんだと思います。

難しいのは、「節約」にも Cost がかかることです。一台のクルマのライフの間に、23.5% の燃費改善によって、1,000l のガソリンの「節約」が可能だとして、その効果を 150円 / l で掛け算すれば、15万円、ですが、15万円の追加費用で、23.5% の改善を獲得しよう、は、そう簡単ではない。ボディーを鋼板から炭素繊維複合材に、の燃費改善効果が大きくても、「十五万円」でそれが出来ますか、は、現時点では確実に No で、地味に要素技術を積み上げていくしか、なかなか実現できない。自動車会社さんの技術開発力や、「積み重ね」の大きな部分を担う部品や部材供給者の技術力の総合、を考えれば、日本勢の Potential は高くて、十五万円なら「十分達成可能」な水準だろうと何となく思いますが、GM さんや Ford さんにそれが可能か、は、また別の問題です。米国が「世界経済」に打撃を与えかねない方向である「トウモロコシ (を中心とする、農産物系の) バイオメタノール」に Drive して居られるのは、農産物国際価格の値上がりは世界経済的には打撃でも、一国経済的には (「国内調整」が必要はあるにしても) むしろ Plus という「持てる国」の論理が見え隠れしていて、「持たざる国」の国民としては、モー、なんですが、米国にしてみれば「燃費改善技術」の競争では、ただでさえイタんでいる米国 (を母国とする) 自動車産業に勝ち目が薄い、20 - 30% のエタノール添加なら、新たな技術競争はない、別の意味で「持たざる国」としての選択、の意味もあるんだと思います。

実際のところは、Technology 的な意味での燃費、は、第一次石油危機以降、Trend としては向上しているにも関わらず、「自動車用燃料」の消費は増えている、は、二月あたりにこの blog で触れたように、自動車の台数が増える、や、自重の大きい「高級車」の増加で、(重量当たり、の Technology 的な意味での燃費は改善されても) 人口一人当たりの燃費、は悪化しているから、が大きいのですが、こっちの方の「節約」の決め手である「価格効果」はすでに発動されていますから、すぐにも抑制的に働きます。その方向も、Prius のように Eco Technology を「高級」に結び付けられる、日本 (を母国とする) 自動車屋さんにとって有利で、クルマのデカさ、や、一台あたりの採算が悪くても数で、が勝負の会社には不利、を加速する、はあって、話がややこしいのではありますが...

( 12 27 2006, 08:53:41 午前 JST ) Permalink