Growth of BRICs
WTI の価格動向は、米国の石油製品需給 (特に Motor Gasoline の需給) に大きく引っ張られる性格があります。米国のガソリン需要は、勿論通勤用やお買い物用の「日常の足」がベースですが、そのピークは "Driving Season" である、大体 Easter Vacation から Labor Day まで、で、Driving Season が「WTI の高値の時期」でもあります。そこでのガソリンの在庫水準によって、上がり始める時期、や下がり始める時期、は、違ってくるし、どの位上がる、下がるも、異なるのですが、「九月頃から下がる」はまあほぼ「例年のパターン」です。(今年の場合は、Driving Season の上がり方、が非常に Sharp だったので、下がり方も Sharp だった、は、例年と異なりますが) そろそろ寒くなるころ、に上がるのは、主に暖房油を石油系に負っている部分の大きいヨーロッパの動向、が利いてきます。Drive の方は、ガソリン価格が上がると、多少控えようか、で需要にも影響を与えるんですが、本当に寒くなってしまうと、「暖房を控えようか」という訳にはいかない。ですので、「天候要因」による変動は、むしろ冬場の方が顕著で、寒ければ高い、余り寒くならない年は安い、という傾向があります。夏場に相場が高いと、暖房油の在庫水準が上がりませんから、冬場ちょっと寒いと途端に値上がり、とか、微妙な部分もあり、今年は、その Risk の高い年、ではあります。
Marker Crude の値動き、は、直近の限月の先物の価格 (今であれば来年一月受渡、ただし決済は通常前月の 20日過ぎまで) で代表されますから、値動きも激しいし、まあ「市場参加者」以外が一喜一憂するようなものでは、必ずしもありません。勿論、Marker Crude が上がる、は、「売り手市場」であり、例えば本来の売り手である産油国側 (市場での売り手、では必ずしもない。WTI の「現物市場」 = 実際の産油高は、先物市場の取引規模と比較すると、比較にならない位小さい) は、何とかその「上がった相場」を維持しようとして下がってくれば生産を絞る、は通例でそれも、多少絞っただけで、高値を経験した市場は敏感に反応するので、目的を達しやすい。「高値圏でのもみ合いがしばらく持続する」は、よくある姿です。ただ、過去のパターンだと、「$80/b は素っ高値としても $60 台は固めたな」という雰囲気が出てくると、石油以外の代替エネルギーへの転換や、更なる省エネルギーへの投資、が出てくるし、今まで採算の問題で開発が進んでいなかった油田の開発意欲が高まる、がスグではないが利いて来るがあるので、高値が更に高値を呼ぶ、には、限界がありました。原油価格の高騰を食い止めるためには、なにが必要か、の答えは「原油価格の高騰」だ は、逆説的ですが、その通りだった面があります。
今回はちょっと違うよ、が言われるのも、これも「いつものこと」なんですが、直近で「今回は違うよ」は、中国やインドのような裾野の大きい国での石油需要の増加が、世界の需給逼迫を牽引していて、論です。これは長期的には確かにそうで、第一次石油ショックの 73年の世界の石油消費 56.4百万b/d に対して、米加欧日の消費は 47百万b/d と、83% を占めていたのが、05年の世界の石油消費 82.5百万b/d の内、米加欧日の消費は 48.6百万b/d と 59% を占めるに過ぎない。言い方を変えると、石油の供給は価格効果に よって 26百万b/d 増加した、しかし、米加欧日の消費は、価格効果による石油原単位の低下で、1.6百万b/d 増と殆ど横ばいだった、しかし、増加した石油供給は米加欧日以外の国の経済成長 (に伴う石油需要の増加) でその殆どが (90% 以上) 喰われている、であり、米加欧日の石油原単位の低下、は限界がある、しかし、中国やインドの経済成長はとどまる気配を見せないから需給逼迫は今後ますます強まる、論です。相場、は雰囲気で大きく動くものですし、「中国やインドの経済成長」は、広がった「市場参加者」の間では絶対に近い Keyword ですから、相場を動かす要素、としては強力であり、73年以来あんまり傾向は変わらないんだけどね、よりも説得力があることは事実でしょう。
( 12 04 2006, 08:56:13 午前 JST ) Permalink
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