20060208 水曜日 2月 08, 2006

Kyoto Protocol (4)


米国の「京都議定書」に対する態度、は、さておいて、その枠内に踏み留まっているハズのワガクニ、の「京都議定書対応」は進んでいるのか、というと、これが例によって「絵に描いた餅」としてはそこそこなのですが、実態としては、お寒い、なんてものではありません。

京都議定書スキーム、は、一口で言えば、1990年の排出量を基準に 08年から 12年までの平均排出量を x% 削減しよう、であり、日本は、x = 6% と EU の 8% と比較すれば、負けてもらっています。排出量、は、二酸化炭素だけであなく、メタンや一酸化二窒素、弗化物のような、他の (排出量はウント小さいが、単位当たりの温室効果は大きい) ガスも含まれていますが、とりあえず話は二酸化炭素に絞ります。08年はもうすぐ、ですから、現状 (と言っても 03年度データですが)のエネルギー起源の二酸化炭素排出量が 1990 年と比較してどうなっているかを見ますと、トータルではすでに 1990年比 12.2% の増加、です。112 の排出を 94 にする、は、モトモトできることではありませんから、そもそもの計画でも、As Is の排出量はフラット、で足りない部分は排出権取引や吸収源対策や「官民の努力」etc. でカバーすることになってはいるのですが、それにしても 12.2% 増加したものを、Zero まで戻そう、は、大変な話です。
さて、排出量の内訳、をみますと、広義の「製造業」関連の排出、は、90年の 615.3百万トンに対して、03年は 611.4百万トン、でここは微減です。(広義の「製造業」 = エネルギー変換 + 産業 + 工業プロセス。エネルギー変換、は、エネルギー産業の内部消費。工業プロセス、は、燃料としてではなく、化学変化で出てくる二酸化炭素、で、大きいのはセメント製造) 従って、増加しているのは、運輸 (+43百万トン、+19.8%)、業務その他 (オフィス、が主。+52百万トン、+36.1%)、家庭 (+40.6百万トン、+31.5%)、廃棄物 (+6.4百万トン、+37.9%) で、それぞれ莫大な数字です。広義製造業、の排出をこれ以上減らす、は、個々の現場では乾いた雑巾まだ絞っている、に近い状態で、抜本的に減らす、は殆ど方策がないのが実情でしょう (一番簡単なのは、例えばセメントの国内生産を止めて、全部輸入に切り替える、で、これで三千万トンとか「日本の排出」は減るのですが、その分は仕出国での排出が増える、しかも「輸送に必要な二酸化炭素排出」が追加されますから、結局は何の役にも立たないツジツマ合わせ、です) から、具体的な削減の大きな部分は、製造業以外の広義の民生部門(狭義の民生部門、は、業務その他、と家庭。運輸、には、船舶や鉄道も含まれるが、船舶や鉄道 の排出は増加しておらず、増えているのは自動車、特に自家用と、航空機なので、廃棄物 = 主要には塵芥処理を含めて、広義の民生、と言っている。より正確には「非製造業」)、にしか余地がないように見えます。

ちょっと注意しないといけないのは、確かに「省エネルギー」の余地は、広義の民生部門の方が大きいと言えるのですが、二酸化炭素の問題になると二酸化炭素の排出は「民生の現場」(例えば家庭用の燃料ストーブ)において直接、よりも、電気エネルギーの形での間接的な排出 (発電所の排出の按分) の方が、よほど大きい、ということです。「民生の現場」で、どんなに節電しても、単位電力あたりの二酸化炭素排出量が増えると、民生の排出は増えてしまう。逆に、もし石炭火力を原子力でも風力でも、二酸化炭素排出のない発電で置き換えれば、それだけで大幅削減が達成できる。両方進めないといけないのですが、どうも、「二酸化炭素排出が増えている」には、「石炭火力が増えている」の寄与がかなりの割合を占めていて、それが狭義の民生用での排出の伸びを加速している面があることです。石炭火力、は、大昔は国内炭の (「炭坑労働者の」を含めて) 延命のために政策的に必要、もあったし、「石油危機」に際しては代替エネルギーとして大きな役割を果たしたのですが、二酸化炭素だけではなく、酸性ガスでも、灰の中の残留元素にしても、「ダーティな、環境負荷の高いエネルギー源」であり、売電用のエネルギー源としては、もう「役割は終わりつつある」と考えるべきではないでしょうか。
経済産業省サイドから見れば、ノスタルジーもあるでしょうし、「身内」の J-Power も最近まで石炭火力にイケイケでしたから、あんまり冷たくできないよ、でしょうが、どうもここに関しては「シガラミ」のない小池百合子環境大臣の「石炭火力をメノカタキにする」態度の方にやや軍配が上がりそうかと。

( 2 08 2006, 09:59:48 午前 JST ) Permalink
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