20061205 火曜日 12月 05, 2006

SASOL


自分は、モノが値上がりする時には、「なぜ上がるか」の理由はいくらでも付けられる、付けられた理由のそれぞれが Reasonable か、ただの後付けなのか、は色々あるとしても、それが「価格」というものだし、それが天産品の「相場」であれば、ますますそうだろう、と思っています。これは可逆的で、下がるときは、手のひらを返したように、「なぜ下がるか」も湧いてくる、そんなもんだ、と... だから、中国・インド論、も、なかなか有力な見方とは思いますが、それは今日明日の値動き、としては (心理的な要因として勿論ありますが) 違う世界です。自分が「今回は違う」と思っているのは、$60/b なり、$80/b ならもっとですが、この価格水準と、それが「そう簡単には崩れそうもない」となった場合の「影響」が、思わぬところで出てくるかも知れない、です。

今までの、原油の価格が上がる、の影響としての「石油代替エネルギー」の主流は「石油そのものの代替」ではなく、例えば工場の熱源が石油から石炭に代わる、や、石油火力が LNG 火力や原子力発電に、のような、エネルギー転換、でした。石油ならでは、のところを代替する、例えば大戦期のドイツや日本で Try されたような、「人造石油」のアプローチは、稀薄だった。商業的に行われたものとしては、南ア連邦の SASOL (国営の石炭・ガス公社) による、石炭の間接液化プラントだけで、これは Technology としては、大戦中のドイツのフィシャートロプシュ合成のそのままの適用です。当時の南アはアパルトヘイト政策への制裁措置としての石油禁輸を受けており、経済性もさることながら、大戦期同様の「安全保障」上の必要からのプラントで、南アは内陸に豊富な石炭資源があって、その「炭田」に隣接して立地 (炭価としては、輸送コスト分安く入手できる) している優位性があるので、「Running Cost としては Pay している、正確には (原油の相場にもよるので) Pay している期間の方が長い」と SASOL の人が胸張ってました。じゃあ、設備投資の償却や技術開発費まで入れるとどうなの、と尋ねたら、聞かなくても分かるだろう、みたいにニヤッとして、「そりゃ、Arabian Light が $50/b でも無理」と。それも、産炭地の隣だから成立する話で、日本じゃもっと無理かなぁ、には 「必ずしもそうではない。F/T 法でやったのは、それが唯一マトモに動いたことのある実用プラントだから、だが、もっと効率的なやり方はいくらでもありそう。その効率的なやり方、で、果たして大規模実用プラントで、マトモに長期連続運転できるのか、がポイントだけど、日本ならデキルかも知れない。それでも Arabian Light $50/b で、償却込みで Pay する、は、ハードル高いだろうけど不可能とは思わない」でした。宇部興産さんのテキサコ法石炭ガス化のプラント (ケミカル原料の石油から石炭への転換で「人造石油」そのものではありませんが応用可能) が動き出した頃、で、「あれはなかなか」を話した記憶ですから、80年代中頃、で、当時の原油価格は $40/b 位だったか、と思います。その直後に大幅に下落して $50/b は「夢の話」になってしまいましたが)

実際問題として、日本での「石炭液化」は、地場に炭田のある南アと違って、原油価格が上がれば日本の輸入炭価もライムラグや幅の問題はありますが、趨勢的に影響を受ける。その後のインフレもありますから、今 $60/b なら出来るか、は微妙でしょうが、それより大きな問題は、南ア程度の石油需要なら、「石炭液化」で代替、は不可能ではないにしても、日本の石油需要を代替しよう、とすれば、必要な石炭の量は半端ではなくて、それをどう確保するの、その場合の炭価は、と考えると、なかなか難しい。(例えば、一日 10万トンの石炭を処理する石炭液化プラント、を考えると、年間 35百万トン、が所要。日本の一般炭の輸入量は年間一億トン弱で、世界の一般炭貿易量の 20% 相当、ですから、35百万トンは、まあ何とかならないこともない量、かも知れません。しかし、得率をどう見るか、はありますが、かなりの効率、を見込んでも、日本の石油需要の 5%を賄える程度ではないか。粗放な計算なので、あくまで、感じ、ですが) 当時、Sasol の人が言っていたのは、「万一、日本が全面的に石炭液化に切り替えたら、それは世界の原油市場に大きな影響 (大幅値下がり)をもたらすから、結果として、石炭液化は Pay しない」で、日本としては、石炭液化の技術開発マジメにやってれば、それを実際に稼働するかどうかは別として、原油価格の高騰の歯止めになる、その辺が正解じゃないの、でしたが、うなずけるところがあります。

( 12 05 2006, 09:03:56 午前 JST ) Permalink
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