West Texas Intermediate
原油の価格、が、この夏には一時的には WTI で $80/バーレルを超える、という空前の高値を付けた後、秋口からは落ち着いて、$60 出たり入ったりだったんですが、このところちょっと強い動き、で News にもなっていますね。WTI は Marker Crude という言い方をしますが、山ほどある「原油の種類 (油種)」の中で、価格の動きが全体の指標になる油種の一つで、もともとはいわゆる「仲間取引」での指標、の意味だったのが、ニューヨークマーカンタイル取引所 (NYMEX) に先物が上場されて、活発に取引が行われていますので、「世界の原油価格の動向」の最大の指標、になっています。他の Marker Crude としては、ヨーロッパの指標である Brent (北海油田) と、中東原油の指標である Dubai (アラブ首長国連邦) がありますが、最大の需要国である米国の指標であり、「業界」の外の一般投資家の参入度も高く「取引量」の大きい WTI が最大の注目、を、という意味です。
WTI は標題にも書いたように、West Texas Intermediate の略称です。色々な原油、を分類する基準は主に三つで、一つは比重ですね。Arabian Light とか Iranian Heavy とか、言いますが、比重の小さいものが Light / 大きいものが Heavy です。Arabian Light のように前に産地の名前がついていますが、各産地によって、Light や Heavy の基準は微妙に違います。サウジ産とイラン産、にはそんなに大きな差はありませんが、ベネズェラの Orinoco Heavy とかは、大変な重質油で、普通の概念で言う「原油」とはちょっと違ったものです。Arabian Light は、産出量も多いので「軽質油」の代表のように扱われる場合もありますが、意味としては「サウジ産の原油の軽い方」ですね。
一つは、硫黄 (S) の含有量で、少ない原油を Sweat / 多い原油を Sour と言います。燃焼した時に S の多い油は酸性ガスである亜硫酸ガスなどを出しますので、そこから Sour であり、その反対語としての Sweat ですね。世界の原油、でいえば、S 分 1% 未満なら立派な「低硫黄原油」なんですが、米国本土の原油は低硫黄のものが多く、WTI の Intermediate は「Sour と Sweat の中 間」の意味の Intermediate とはいえ、それはテキサスでは中間、でも、世界的に見ればピカピカの「低硫黄原油」です。(比重で、Light と Heavy の中間、は、Medium と呼びます)
もう一つは、原油を構成する炭化水素が直鎖のものが多い (パラフィン基原油)か、環状のものが多い (ナフテン基原油) か、の区別です。
原油の性質は、目的物である「石油製品」がどれだけ採れるか、に大きな影響を与えます。「石油製品」の中でも、アイテムとしても最大で、また他で簡単には代替の利かない「自動車用ガソリン」がどれだけ採れるか、採りやすいか、が、大きな Point で、特に米国では、石油製品 = Motor Gasoline みたいなものですから、ほとんどそこが全て、です。ガソリン生産には、比重が軽くて、硫黄含有量が低くて、パラフィンよりナフテン寄り、の原油が最適で、WTI はそれにぴったり (WTI は比重でいえば、Arabian xx との比較では、Arabian Light より軽い "Extra Light" 並か、それよりも軽い = 軽質溜分であるガソリン製造向き) Meet しています。重くて、S 分が多い原油、も改質や分解のプロセスを通すことで、ガソリンに「加工」することが出来ますが、「加工設備」に大きな投資が要るし、加工ロスも小さくありません。米国では、大型の分解装置を持った高度な精油所もいっぱいありますが、中規模以下の精油所も少なくないし、そういうところで、「ガソリンが欲しい」となれば、WTI (ないしは、WTI と油状の似た原油)を引っ張ってくるしかありません。
( 12 01 2006, 09:04:49 午前 JST ) Permalink
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